2016年12月5日月曜日

【要約】『「学力」の経済学』中室牧子

ページ数の多い本を読み終わると愉快であった。知識の底が深くなった。・・・ということで、『「学力」の経済学』の要約を書きました。
好奇心が型にはまった教育の後に残っていれば、それは奇跡である。
- アルバート・アインシュタイン(理論物理学者、1879-1955)

目次

  1. 教育評論家は信用できるか?
  2. ゲームは子どもに悪影響か?
  3. 子どもを勉強させるために、ご褒美で釣ってはいけない?
  4. 子どもはほめて育てるべき?
  5. 「テストでよい点をとればご褒美=アウトプット」と「本を読んだらご褒美=インプット」ではどちらがより効果的?
  6. もしほめるなら、「もともとの能力(=頭のよさ)」と「努力」ではどちらをほめるべき?
  7. 高卒と大卒では生涯収入にどれくらいの差がある?
  8. 「教育」と「株や債券」ではどちらが収益率の高い投資といえる?
  9. 親が負担する教育費は、幼稚園から大学まですべて国公立の場合でどれくらい?
  10. 親が負担する教育費は、幼稚園から大学まですべて私立の場合でどれくらい?
  11. 幼児・小学校・中学校・高校・大学のうち、教育にはいつ投資すべき?
  12. 「自制心」や「やり抜く力」など人間の気質や性格的な特徴を指すのは、「認知能力」と「非認知能力」のどっち?
  13. 幼児教育で改善が見られるのは、「認知能力」と「非認知能力」のどっち?
  14. 「少人数学級」と「教員の質を高める」ではどちらが費用対効果が高い?
  15. 教員免許制度はいまのままでよい?
  16. 「全国学力調査で秋田県がトップ。だから秋田の学校を学ぼう!」に意味はあるか?
  17. これからの教育政策には何が必要?
  18. 日本政府は現在、100歳の老人には年間500万円の予算を使っているが、一方で就学期の子どもにはどれくらいの予算を使っている?
  19. 現在の日本の教育にとって決定的に欠けているものは何?
  20. 教育にとってエビデンスはなぜ必要?
「学力」の経済学
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中室 牧子
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『「学力」の経済学』中室牧子 を上手に分解

Q1. 教育評論家は信用できるか?

A. できない
ほとんどの教育評論家は、N=1の個人的な経験談しか話せない。

Q2. ゲームは子どもに悪影響か?

A. 悪影響ではない
そんなデータはない。

Q3. 子どもを勉強させるために、ご褒美で釣ってはいけない?

A. 釣ってよい
子どものやる気に関わる。

Q4. 子どもはほめて育てるべき?

A. ほめるよりもご褒美で釣るべき
上手にほめるのはむずかしい。下手にほめると子どもは正しい自己認識を持てなくなる。

Q5. 「テストでよい点をとればご褒美=アウトプット」と「本を読んだらご褒美=インプット」ではどちらがより効果的?

A. インプット
学力テストの結果がよくなったのは「インプット」。インプットをほめるべし。

Q6. もしほめるなら、「もともとの能力(=頭のよさ)」と「努力」ではどちらをほめるべき?

A. 努力
絶対に「努力」をほめるべし。前者だと意欲を失うのでやってはいけない。

Q7. 高卒と大卒では生涯収入にどれくらいの差がある?

A. 約1億円
サラリーマンの生涯年収は、次のようになっている。中卒2億1,000万円、高卒2億3,000万円、大学・大学院卒3億2,000万円(出典: http://nensyu-labo.com/heikin_syougai.htm

Q8. 「教育」と「株や債券」ではどちらが収益率の高い投資といえる?

A. 教育
投資という観点で見たら、の話。

Q9. 親が負担する教育費は、幼稚園から大学まですべて国公立の場合でどれくらい?

A. 約1000万円
すべて国公立の場合であることに注意。

Q10. 親が負担する教育費は、幼稚園から大学まですべて私立の場合でどれくらい?

A. 約2300万円
すべて私立の場合であることに注意だが、1300万円違う。

Q11. 幼児・小学校・中学校・高校・大学のうち、教育にはいつ投資すべき?

A. 幼児教育のとき
年齢が上がるにつれて収益率が下がっていく。

Q12. 「自制心」や「やり抜く力」など人間の気質や性格的な特徴を指すのは、「認知能力」と「非認知能力」のどっち?

A. 非認知能力
認知能力とはIQなどテストで測れる能力のこと。

Q13. 幼児教育で改善が見られるのは、「認知能力」と「非認知能力」のどっち?

A. 非認知能力
詳しくは書籍を参照してください。

Q14. 「少人数学級」と「教員の質を高める」ではどちらが費用対効果が高い?

A. 教員の質を高める
少人数学級の効果は少なからず認められるが、「費用対効果」つまりコスパの観点で見るとこうなる。教師ひとりあたりが面倒を見る生徒の数が少ないのだから、ある意味当たり前。

Q15. 教員免許制度はいまのままでよい?

A. だめ
他の職業で活躍してきた人が教員に転職できるように改善する必要がある。免許を取ったから「教師」なのではない。

Q16. 「全国学力調査で秋田県がトップ。だから秋田の学校を学ぼう!」に意味はあるか?

A. 意味はない
公立だけのランキングだからこうなる。私立を入れたら東京がトップになる。モデルにするなら、公立・私立うんぬんではなく、より効果的な取り組みをしているところにすべき。

Q17. これからの教育政策には何が必要?

A. 根拠(ファクト)
思い込みやイデオロギーを当てにしてはいけない。

Q18. 日本政府は現在、100歳の老人には年間500万円の予算を使っているが、一方で就学期の子どもにはどれくらいの予算を使っている?

A. 約100万円
5倍違う。このまま行くと、将来はどうなっているのだろう?

Q19. 現在の日本の教育にとって決定的に欠けているものは何?

A. エビデンス
重要だから2回登場。繰り返しになるが、思い込みやイデオロギーを当てにしてはいけない。

Q20. 教育にとってエビデンスはなぜ必要?

A. 教育分野にお金をつけるため
綺麗事ではなく、マクロ的にはお金がないと何もできない。

以上、『「学力」の経済学』中室牧子 の要約でした。

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