2016年12月5日月曜日

芥川賞作家・又吉直樹(ピース)の好きな本まとめ33冊

ある朝、気がかりな夢から目をさますと、自分が一人の芥川賞作家に変わっているのを発見する男、又吉直樹。なぜ、こんな異常な事態になってしまったのか…。謎は究明されぬまま、ふだんと変わらない、ありふれた日常がすぎていく。

一夜にして、読書芸人から芥川賞作家に変身したピースの又吉直樹さん。独特な視点を持ち、非常に気になる存在なので、何かの参考までに、彼が雑誌などで紹介している本をまとめることにします。彼のコメント付きです。

人間失格/太宰治

人間失格 (集英社文庫)

人間失格 (集英社文庫)
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太宰 治
集英社
売り上げランキング: 375
人間失格から読んで好きになり、太宰を読み始めて面白い短編があると知ってより好きになった。

ヴィヨンの妻/太宰治

ヴィヨンの妻 (新潮文庫)

ヴィヨンの妻 (新潮文庫)
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太宰 治
新潮社
売り上げランキング: 15,308
「太宰は暗いから苦手」と言う人達がいる。確かに深刻な内容の作品も多い。面白くて笑える短編も数多くあって、例えばその中の一つに「親友交歓」という短編がある。これは面白かった。読んでいて思わず笑ってしまった。これを読み太宰さんは面白い人だったのだと確信した。もちろん僕は深刻な内容の話も含め太宰作品は全て好きだ。

回想の太宰治/津島美知子

回想の太宰治 (講談社文芸文庫 つH 1)
津島 美知子
講談社
売り上げランキング: 338,801
太宰治の奥さんがかかれているんですど、太宰作品から想像する太宰の妻っていうのはけなげで大変な苦労されている印象があったんです。だけどこれを読んで凄い面白い方で強さもありますし太宰を客観的に見ていて、今の言葉でいうと彼を「いじってる」ように感じたんです。この方がいたから、太宰はああいう面白い作品をかけたのかと思いました。

一千一秒物語/稲垣足穂

一千一秒物語 (新潮文庫)

一千一秒物語 (新潮文庫)
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稲垣 足穂
新潮社
売り上げランキング: 9,790
「流星と格闘した話」など不条理でファンタジックな短編で構成されている。
主人公が車を運転してしてたら流星と衝突するんです。で、「何してんねん」って車を降りて流星とつかみ合いのケンカをするんです。でも主人公は倒されてしまう。家に帰った主人公は、拳銃を取り出して屋根に上って流星のいる空中めがけて発砲するんです。すると流星が落ちてくる。。みたいな変わった話がいっぱい入ってるんです。

トロッコ/芥川竜之介

杜子春・トロッコ・魔術―芥川竜之介短編集 (講談社青い鳥文庫 (90‐1))
芥川 龍之介
講談社
売り上げランキング: 70,924
中学のとき、教科書に載っていた芥川龍之介の『トロッコ』を読んでから読書にはまった。

変身/カフカ

変身 (新潮文庫)

変身 (新潮文庫)
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フランツ・カフカ
新潮社
売り上げランキング: 860
ある朝、主人公が目覚めると自分の体が巨大な虫・毒虫になっていたんです。そんな異常な状況なのに普段の日常のことを心配するんです。毒虫ということを簡単に受け入れて、別のことを心配して、物事も淡々と進んでいくんですけど、家族とかから、厄介者扱いされて、なんか凄いんですけど、すごく笑えるんです。

最後の喫煙者/筒井康隆

最後の喫煙者―自選ドタバタ傑作集〈1〉 (新潮文庫)
筒井 康隆
新潮社
売り上げランキング: 17,968
喫煙者が主人公で、とにかく社会的に喫煙者への排斥運動が高まっていって、吸う場所がどこにもなくなっていくんです。最終的に国会議事堂の屋上に追いつめられて、催涙弾とか打ち込まれるんだけど、それでもタバコを吸うっていう話で。今とちがって、みんな街中でタバコを吸っても誰もとがめない何十年も前に書かれた小説なんです。今を予見していたような話で、しかも最後、すごく面白い結末もあります。

尾崎放哉全句集/尾崎放哉

尾崎放哉全句集 (ちくま文庫)
尾崎 放哉
筑摩書房
売り上げランキング: 21,246
どうしょうもない感情や、何故か切り取って保存したくなる風景などをノートに書き留めるようにしていた。だが、そのノーに書かれた言葉達はなかなか日の目を見る機会に恵まれなかった。それでも、書く行為は続けていた。そんな時に尾崎放哉の自由律俳句に出会った。

咳をしても一人。
墓の裏にまわる。

あった、あったと思った。あいつらに居場所あったぞと思った。

夫婦善哉/織田作之助

夫婦善哉 (新潮文庫)

夫婦善哉 (新潮文庫)
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織田 作之助
新潮社
売り上げランキング: 15,698
「夫婦善哉」はどんな話しだったか。一見逞しい女と頼りない男が出てくるのだが、男女が共にいる理由を理屈で説明するのではなく情景で匂わせてくれる妙な読後感が好きだった。

炎上する君/西 加奈子

炎上する君 (角川文庫)

炎上する君 (角川文庫)
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西 加奈子
角川書店(角川グループパブリッシング) (2012-11-22)
売り上げランキング: 5,348
「炎上する君」を読んだ。自由奔放な発想力で紡がれた短編集。そこに描かれた幻想的な世界こそ真実と思える西さんが自身の剥き出しの感性に対して誠実で率直だからだろうか。実際に声を出して笑うくらい面白い部分があるのに「笑い」と「物語」が乖離しないのは先天的に面白い人だけが持つ特別な才能だと思う。羨ましい。

万延元年のフットボール/大江健三郎

万延元年のフットボール (講談社文芸文庫)
大江 健三郎
講談社
売り上げランキング: 48,799
「万延元年のフットボール」を読んだ。時々読み返したくなる小説の一つだ。久しぶりに読むと祖父のことがもっと知りたくなった。祖父を始めとする先祖の何かが僕を突き動かしている瞬間が確実にあるような気がするのだ。

サッカーという名の神様/近藤篤

サッカーという名の神様 (生活人新書)
近藤 篤
日本放送出版協会
売り上げランキング: 112,103
「サッカーという名の神様」はサッカーの写真とエッセイで綴られた本だ。ページをめくると度に球が蹴りたくなる。ドリブルで駆け上がりたくなる。ゴールネットを揺らしたくなる。顔面でシュートを止めるとこ見せたくなる。鼻血たらたら垂らしながら。根性無しの僕にそうさせるのはサッカーという名の神様だ。

コインロッカー・ベイビーズ/村上 龍

新装版 コインロッカー・ベイビーズ (講談社文庫)
村上 龍
講談社
売り上げランキング: 167
いつか遥か遠くの未来の住人が、過去の世界の残滓として土の中から一冊の本を発見するならこの本が良いと思う。

銀河鉄道の夜/宮沢賢治

新編 銀河鉄道の夜 (新潮文庫)
宮沢 賢治
新潮社
売り上げランキング: 1,645
子どものために書かれた童話の多くが童話という枠を取ると魅力が損なわれがちですが、詩人宮沢賢治が書いた「銀河鉄道の夜」はカテゴリーにとらわれず霊的な力を放つ素晴らしい小説です。

四十日と四十夜のメルヘン/青木淳悟

四十日と四十夜のメルヘン
青木 淳悟
新潮社
売り上げランキング: 461,570
青木淳悟さんが書いた「四十日と四十夜のメルヘン」は、チラシが重要な役割を果たす不思議な小説だ。作中に登場人物が書いた小説が出てくるのだか、それも面白かった。気になる作家さんだ。

銃/中村文則

銃 (河出文庫)

銃 (河出文庫)
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中村 文則
河出書房新社
売り上げランキング: 12,126
衝撃でした。より一層、僕が文学を好きになる契機になった小説

何もかも憂鬱な夜に/中村文則

何もかも憂鬱な夜に (集英社文庫)
中村 文則
集英社 (2012-02-17)
売り上げランキング: 419
「何もかも憂鬱な夜に」を読んだ。この本は僕の過去にまで遡り思春期の頃の僕と今の僕を救ってくれた。僕に必要なことは全て書いてくれていた。こんなにも明確に生きる理由を与えてくれる小説はなかった。

遮光/中村文則

遮光 (新潮文庫)

遮光 (新潮文庫)
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中村 文則
新潮社
売り上げランキング: 4,282
決して明るい小説では無く深刻な内容なのだけれど、そういう小説が救いになっている僕のような人も沢山いて、中村文則さんは、そんな僕達にとってかけがえのない特別な作家なのだ。

王国/中村文則

王国 (河出文庫 な)

王国 (河出文庫 な)
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中村 文則
河出書房新社
売り上げランキング: 4,634
読みやすく書かれているからこそ、余計に話の内容が心に響きやすい。自分が考えたり、疑問に思った問題に迫っていて、恐怖感に近いものを感じましたね

蜩の声/古井由吉

蜩の声

蜩の声
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古井 由吉
講談社
売り上げランキング: 69,760
初期の小説『杳子(ようこ)』を読んで、言葉を失うほどの感動を覚えて以来、古井作品を30冊以上、買い続けている

世界音痴/穂村弘

世界音痴〔文庫〕 (小学館文庫)
穂村 弘
小学館
売り上げランキング: 6,380
穂村さんの本は文章もきれいで柔らかい中に読みやすさもありながら、ハッとするようなことも書いている。歌人ならではのいろんなものが詰まっている

もうおうちへかえりましょう/穂村弘

もうおうちへかえりましょう (小学館文庫)
穂村 弘
小学館 (2010-08-05)
売り上げランキング: 104,711
歌人の穂村さんのエッセイなんですけどただただ僕は共感して、笑えた。その中の「マイナス星人」というエッセイ。なぜかそこにいるのに気がつかれない、、、。僕も番組のスタッフさんにも「又吉さ~ん、又吉さーん」とそこにいても気がつかれないことが多いんです。真横にいても。
ボーリングのガッツポーツがどうしても出来ないとか、どうしたらいいのかわからないことが、とても共感して笑えるんです。

告白/町田康

告白 (中公文庫)

告白 (中公文庫)
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町田 康
中央公論新社
売り上げランキング: 233
(主人公がお祭りに出かけた時、時間が早すぎて出直そうかどうしようか迷った挙句、近くの茂みで身を潜めていたエピソードを読んで...)
ほんま、俺のこと書いてるんかと思って...。飲み会の会場に誘われて行ったら、めっちゃ早く着いてもうて、でも今行ったら「コイツやる気マンマンやな」と思われたら恥ずかしいから、ちょっと近くの公園とかでみんなが揃って、8割ぐらい入ったところで...。こう、そこまで本気ちゃいますよ、みたいなノリで行きたいとか...。

人間小唄/町田康

人間小唄 (講談社文庫)

人間小唄 (講談社文庫)
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町田 康
講談社 (2014-01-15)
売り上げランキング: 1,380
町田さんの小説は毎回笑えて、お笑い芸人でも十分いけたと思うんですけど、この小説は作家のもとに20首の短歌が贈られてきて、それが罠だった、、、という話なんです。むちゃくちゃといえば、無茶苦茶なんですけど、自分の想像してなかったところにどんどんはまっていってしまって、なんで俺がんばってるんだろうと我に返る瞬間とか、笑いながら読んでるんですけど、だんだん怖くなってくるんです。狂気というかそれに近いことがあるな、と思い読んでいったんです。脳みそがぐちゃぐちゃになるような、僕は凄い面白くて好きでした。

風の歌を聴け/村上春樹

風の歌を聴け (講談社文庫)
村上 春樹
講談社
売り上げランキング: 1,189
春樹作品は敷居が高いという人もいると思うんです。僕も読む前は“モテる人の頭の良い小説で、泥のような青春を送った自分には読めへんのかな”と思ってた(笑)。でも、『風の歌~』は読み始めた途端、この軽快なリズム感はなんや! と驚きました。

ノルウェイの森/村上春樹

ノルウェイの森 文庫 全2巻 完結セット (講談社文庫)
村上 春樹
講談社
売り上げランキング: 9,433
会話のうまさについては『風の歌~』でも感じてたんですが、春樹さんの笑いのセンスを確信したのがこの本。僕はそれほど男前じゃない人がきれいな女性といるのを見ると、この人、話が面白いんだろうなと。主人公のワタナベもおもろいんですよ。直子に『私のおねがいをふたつ聞いてくれる?』と言われると『みっつ聞くよ』とか(笑)。会話のユーモアから作家と信頼関係を結びやすい、鉄板の物語だと思いますね

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド/村上春樹

30代で多少ひねくれていれば骨のある作品も読みたい。それならこれ。僕は“めちゃめちゃおもろい”って、興奮しながら読んだ。ものすごい本を読んだ後って、本全体を見つめながら余韻にひたる時もあるけど、まさにそんな驚きの体験ができる作品でしたね

ねじまき鳥クロニクル/村上春樹

ねじまき鳥クロニクル 全3巻 完結セット (新潮文庫)
村上 春樹
新潮社
売り上げランキング: 9,831
『ねじまき鳥クロニクル』は全3巻。こんなに読むのか、ではなくて、3冊も読めてラッキー! って時期に読めば、作品の深さを最も楽しめると思います

1Q84/村上春樹

1Q84 BOOK1-3 文庫 全6巻 完結セット (新潮文庫)
村上 春樹
新潮社
売り上げランキング: 3,938
とにかく、まだ読んでいない人がいるなら、「今読んだほうがいい」と言いたいですね。『ノルウェイの森』の中で、時の洗礼を受けていないものは読んでも意味がないと語る人物が出てきましたが、僕はこの本は、今この時代に読むことに大きな意味があると思います。物語の中にでてきた音楽を聴こうとか、引用された小説を読もうとか、新宿中村屋に行ってみようとか、僕たちに別の世界への扉を開いてくれる小説だと思っています。

夜は短し歩けよ乙女/森見登美彦

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)
森見 登美彦
角川グループパブリッシング
売り上げランキング: 302
風邪をひき弱っていたが森見登美彦さんの『夜は短し歩けよ乙女』を読んだら治った。非常に面白かった。

キッチン/吉本ばなな

キッチン (角川文庫)

キッチン (角川文庫)
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吉本 ばなな
角川書店
売り上げランキング: 2,323
他の作品では『うたかた、サンクチュアリ』『つぐみ』等が好きです。日本的で懐かしくて切ない。感傷的になります。髪の毛が金髪でヘビースモーカーで大型バイクを乗り回し周囲から恐い印象を持たれている女の子がいたとしても、その子の部屋の本棚に吉本ばななさんの本が並んでいたら本当は優しい子だと思ってしまう僕がいます。

昔日の客/関口良雄

昔日の客

昔日の客
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関口 良雄
夏葉社
売り上げランキング: 23,901
文章に品があり、流れる時間がゆっくりしていて、なおかつユーモアもあって、2010年に読んだエッセイでは、僕のなかでベストワンの作品です。

第2図書係補佐/又吉直樹

第2図書係補佐 (幻冬舎よしもと文庫)
又吉 直樹
幻冬舎
売り上げランキング: 42
おまけですが、著者がおすすめする本について語っている本です。もっと知りたい方はどうぞ。

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